有機栽培・無農薬栽培が可能な野菜
趣味の家庭菜園、無農薬で栽培できる野菜は思うほどありません。しかし種類を厳選して栽培可能な野菜を多めに栽培すれば、栽培のメリットがあります。野菜の無農薬栽培の可能性について、私の栽培写真とともにご説明したいと思います。
サツマイモ
サツマイモは野菜の中で無農薬で栽培できる筆頭といって良いでしょう。ベニハルカはバッタ類の食害に強く、5メートル10株にすれば衣装ケース1杯分の大きな芋が収穫できて9月からの早期収穫可能です。密植栽培にすると芋のサイズを小さくできます。アヤコマチはカロテノイドがありカボチャの栄養素の代用となります。畝は高めにしましょう。しかし高畝にすると夏季の干ばつには要注意で猛暑日の二週間に1回はたっぷり土を湿らせてやる必要があります。除草の省力化にはマルチング栽培したほうがよいでしょう。
サツマイモベニハルカの無農薬栽培
筆者栽培
一週間置いたあと、お風呂のシャワーで60度の湯で優しく洗えば殺菌になってキュアリング代わりとなり保存性が高まります。(筆者が2016年に考案、誰もほめてくれないのでちょっぴり自慢)
サツマイモカンパチの無農薬栽培
筆者栽培
筆者が無知識だった頃に、収穫直後に洗うと皮がこすれてこのように低品質になりました。
サツマイモ黄金センガンの無農薬栽培
筆者栽培
オウゴンセンガンは天ぷら用で、おいしいですが、他の料理に合わせづらいので少量生産がおすすめです。
タマネギ
タマネギも比較的害虫が付きにくい野菜で無農薬で栽培が可能です。しかし疫病には要注意で常に除草を必要とします。マルチング栽培は必須でノンマルチでは栽培が難しいです。少々畝を作って植えましょう。
タマネギの無農薬栽培
筆者栽培
見てのとおり、雑草がすごいので黒マルチで覆わないとタマネギの無農薬栽培は厳しいです。
ジャガイモ
ジャガイモの無農薬栽培は運を天(お天気)に左右されますので、一度に大量に栽培しないほうがよいでしょう。欧州系や南米系は雨による疫病で全滅することもしばしばでがっかりします。芋に農薬が吸収されるといけませんので、有機栽培では炭酸水素ナトリウムやカリグリーン1回程度にとどめてボルドーは使わないほうがよいでしょう。花を摘んだほうがアブラムシ対策になります。収穫時期に1週間ほとんど雨、ということになりますと、芋が腐敗して悲しい結果に終わります。できれば雨よけトンネルをしたいところです。高畝必須です。注意したい点は、そうか病が発生した土壌ではジャガイモは当面作らないほうがよいです。
ジャガイモ十勝こがねの無農薬栽培
筆者栽培
品種として収量は少な目ですが、目が浅く休眠期も長いので筆者お気に入りの品種です。
サトイモ
サトイモは特に目立つ病害虫はありませんが、珍しいですが稀にアオムシなどが付くことがあります。多めの肥料を欲するうえに夏場の水やりが欠かせませんので、平野部では(有料の)農業用水や山間部では無料の沢の水が確保できないとコスト面で栽培は厳しいと思われます。
サトイモの無農薬栽培
筆者栽培
無農薬でもここまで収穫可能ですが、問題は保存でこのままの状態ではカビが生えて台無しになりました。サツマイモ同様に、60度の湯で洗って保存したほうがよいのではないかと思います。
ニンニク
ニンニクも無農薬で栽培可能ですが、つぼみは取らなければいけません。収穫間近になるとニンニクはアブラムシが媒介する病気に罹りますので、できれば何とかハーモメイト程度の有機栽培用農薬で対策を講じたいものです。病気になったニンニクを種球とすると次第に生産量は減っていきます。
ダイコン・カブ
ダイコンとカブといえばアブラムシ。アブラムシを防ぐことはできません。葉裏への有機栽培用農薬散布は難しく地上際は湿度もありますのでデンプンも効果はないと考えたほうがよいでしょう。ナメクジも大敵ですのでナメクジ捕獲機を設置するとよいでしょう。葉は廃棄する方向で食用にはできません。
カブの表面がナメクジに食害されたような跡があります。何とかしてこれを防ぐ方法を考え中であります。
ダイコンとカブの無農薬栽培
筆者栽培
キヌサヤ
キヌサヤもまたアブラムシが生じますので、アブラムシが発生するまでに収穫を終了するか、不織布で完封するか・・・完璧なサヤを収穫することは難しいですが、無農薬栽培は不可能ではありません。しかしインゲン系は隔離栽培でもしない限り、無農薬は不可能と思ったほうがよいでしょう。大豆?カメムシに吸汁された豆は味までおかしくなりますので有機栽培は無理です!小豆ならまだ何とか。
ソラマメ
ソラマメにもアブラムシが発生します。気休め程度ですが炭酸ナトリウムやカリグリーンはサヤの品質劣化に対して少々効果があるらしく、無農薬でも何とか家庭用であれば栽培可能です。しかし何の散布もないと病気により豆が腐ったような風味になる確率が高くなります。風通しをよくして新芽を摘心すればアブラムシの密度は抑制可能です。
ソラマメの有機栽培
筆者栽培
早めの収穫と炭酸水素ナトリウムかカリグリーンの散布で少々品質が向上しました。
ニンジン
ナス・ピーマン・とうがらし
ナスとピーマンは灰茶色のカメムシに対して弱いですが、除草と水やりをしっかりやれば何とか・・・趣味の範囲ではギリギリ栽培可能でしょう。
トマト
トマトの有機栽培は黄緑色のカメムシ次第です。いかにカメムシをネット内やハウス内に入れないかに成否はかかっています。
キュウリ
キュウリの栽培は割と可能ですが、カリグリーン程度はやっておいたほうがよいでしょう。ミツバチが早朝にキュウリの花に蜜を吸いに来る様子はまことに愛らしいです。
スイカ
スイカは無農薬で栽培可能ですが、雨に注意します。なるべく雨がかからないようにしたいものです。5日連続雨、という時は最悪です・・・。なるべく遅くに植えつけ梅雨明けから生育させたほうが筆者としては好みの栽培方法です。
小玉スイカの無農薬栽培
筆者栽培
スイカは高価な大玉といきたいところですが、小玉スイカは冷蔵庫に入り皮付近まで甘いのでおすすめです。
ネギ
葉ネギよりも白ネギがおすすめです。というのも葉ネギはアブラムシの害を受けやすく、病気にもなりますので意外と栽培が難しいです。
ゴボウ
正直掘るのが面倒ですが、無農薬で栽培可能です。
ハヤトウリ
雨と雑草負けしなければ、栽培用意ですが、奈良漬にしてもおいしくありません。
ミョウガ・チョロギ・サンショウ
雑草負けしなければ無農薬栽培可能で特に病害虫もありません。チョロギは小さいので畑で見失ってしまうことも。サンショウは果樹ですが、野菜として食しますので、ここに書かせてもらいます。サンショウは柑橘類の一種ですのでカイガラムシとアゲハチョウに弱いですが、それ以外は無農薬栽培可能です。
チョロギの梅酢漬け。
筆者栽培
掘り起こしてチョロギを探すのが面倒です。
ミョウガの無農薬栽培
筆者栽培
特に害虫なくミョウガの無農薬栽培の結果は良好でした。
レモンバーム・ローズマリー
この二つは無農薬でも栽培可能ですが、レモンバームはいったんリーフスポットが出るとそのシーズンの収穫は厳しいです。ミントは栽培していて無農薬栽培は無理だと思いました。
ズッキーニ
ズッキーニは害虫の発生時期より収穫時期が少々早いため無農薬栽培可能です。でもズッキーニは栽培面積の割に収穫量が少ないので栽培効率は低いです。畑が余っているご家庭ならおすすめします。
アスパラガス
アスパラガスも何とか栽培可能です。
キノコの部屋栽培
ウリ類
種類にもよりますが、トウガン、カンピョウも有機・無農薬栽培可能です。ただ調理がたいへん面倒でカンピョウはカビさせずに加工する方法が難しいのであまりおすすめしません。
ゴマ
筆者はゴマを無農薬栽培したことがないのですが、知人がゴマの無農薬栽培に成功しているのできれいなゴマを貰いました。
小豆
小豆も意外と無農薬栽培が可能でした。ただし、収穫後の脱穀と豆の選別が面倒です。
落花生(ピーナッツ)
落花生は無農薬栽培が可能で栽培容易です。ただし、発芽の際にいくつか脱落するので、いかに発芽率を高めるかが収量を左右します。自家採集の種子は発芽率が低いですが、種子そのものが高価ですので炭酸水で洗うなど、何らかの消毒をしたほうがよいかもしれません。
無農薬ピーナッツ
筆者栽培
1畝でたったこれだけの収穫量は寂しいです。
執筆後記
やはり無農薬ではどうしても栽培できない野菜があります。葉物野菜を作ってみたところ、やはり害虫が酷くて食べられませんでした。トウモロコシも害虫が酷く、被覆栽培で最初の10本ほど収穫して以降は害虫でダメでした。ブロッコリーはゆでるとアブラムシが出てきたのでそれ以来二度と栽培していませんしスーパーで見かけてもトラウマになって買ってません^^;ネギ類もアブラムシが出るとダメですね、出るまではいいけど。オクラも不思議なイモムシさんが出ますし、家庭栽培ではトゲがきついので栽培をあきらめました。カボチャも無農薬はウリハムシがいるところでは厳しいです。
無農薬栽培の高菜はこう見えても害虫だらけで大失敗でした。
筆者栽培
家庭で15年以上野菜を作り続けている私としては、無理なものには手を出さないことが楽しく栽培するポイントであるように思います。葉物は家庭でも隔離・砂栽培のようにできないものかと・・・。