4/20/2018

天敵製剤についての解説1-テントップ:コレトップ:リクトップ:メリトップ:チリトップ:ヒメトップ:ツヤトップ:サバクトップ

テントウムシ アブラムシの天敵

天敵製剤

天敵製剤とは、害虫の天敵である昆虫を生きたままパッケージにした農薬です。有機JAS栽培に使える天敵製剤もあります。2018年の時点で通販で手軽に買える天敵製剤は次の通りです。

目次

  1. テントップ:アブラムシ類の天敵製剤
  2. コレトップ:アブラムシ類の天敵製剤
  3. リクトップ:アザミウマ類の天敵製剤
  4. メリトップ:アザミウマ類の天敵製剤
  5. チリトップ:ハダニ類の天敵製剤
  6. ヒメトップ:ハモグリバエの天敵製剤
  7. ツヤトップ:オンシツコナジラミ類の天敵製剤
  8. サバクトップ:コナジラミ類の天敵製剤

テントップ

出光興産のアグリバイオ事業部門である出光アグリ株式会社(http://idemitsuagri.com)が手掛けるテントウムシの天敵製剤です。アブラムシ類を駆除するために使います。テントウムシの二齢幼虫です。20度から30度の温度がテントウムシの幼虫の生育に好ましいです。公式サイトの説明によると、テントウムシが幼虫でいる期間は約8.7日、蛹でいる期間は約3.7日です。成虫でいる期間は10日から120日(越冬)の間です。

使い方

アブラムシの発生初期に、1平方メートルあたり10匹から13匹を放ちます。アブラムシの発生初期から7日~10日間隔で使用することがすすめられています。放飼後は薬剤の散布を避けてください。はじめて使用する際には関係機関の指導を受けることが望ましいです。

飛ばないナミテントウ利用マニュアル(http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/warc_manual_tobanai_namitento_usetechnical_1.pdf)もご参考ください。

1アールあたりの放飼頭数は1000匹という計算になります。

200頭入り、100頭入り、50頭入りがあります。

コレトップ

コレトップはコレマンアブラバチを封入した天敵製剤です。コレマンアブラバチはアブラムシ類(ヒゲナガアブラムシ類を除く)に寄生して長期にわたり効果を発揮します。1ボトルあたり約250頭が封入されています。

使い方

10アールあたり4~8ボトル(1,000~2,000頭)を放ちます。2.5アール(250平方メートル、10m×25m)あたり1ボトル、250匹の計算になります。

コレマンアブラバチって?

コレマンアブラバチは地中海~中央アジア原産で成虫の体長が2mm程度の昆虫です。成虫の寿命は僅か6日です。卵~幼虫の期間は約2週間ほどです!アブラムシ1匹につき1個の卵を産み付け約400個産卵(つまりアブラムシ400匹に産卵)します。
参考ページ:http://www.idemitsu.co.jp/agri/tenteki_club/sp/product/cole_ecology.html
コレマンアブラバチはアブラムシに寄生する天敵です。

リクトップ

リクトップはアザミウマの天敵であるタイリクヒメハナカメムシを封入した天敵製剤です。タイリクヒメハナカメムシの体長は成虫で約2mmです。1ボトルあたり100頭または500頭で製品化されています。アザミウマ以外にもダニ類やアブラムシ類を捕食します。使用回数に制限がなく農薬使用にカウントされません。
  • 農薬登録番号:21545号
  • 性状:淡褐色粒状
  • その他成分:鉱物質(石綿不検出)

使い方

アザミウマ類の発生初期に放し飼いにします。タイリクヒメハナカメムシの活動に適した温度は25度から30度です。最低でも11度~12度必要です。卵から成虫になるまでの日数は雌で気温20度で約30日、気温25度で約16日です。成虫1頭あたりアザミウマを1日10頭捕食します。

参考ページ:http://www.idemitsu.co.jp/agri/product/microbe/enemy/riku.html
タイリクヒメハナカメムシがアザミウマを食べて駆除します。

メリトップ

メリトップはアザミウマ類の天敵ククメリスカブリダニを封入した天敵製剤です。1ボトルあたり50,000頭のククメリスカブリダニが入っています。他のダニ類や花粉類も食べるので圃場に定着しやすいです。
  • 農薬の登録番号:20851号
  • 適用害虫:アザミウマ類

使い方

アザミウマ類の密度が高い場合はあらかじめ殺虫剤でアザミウマの密度を下げてから使います。ククメリスカブリダニはアザミウマの1齢幼虫を中心に捕食します。野菜苗1株あたり100匹を目安に放し飼いにします。作物の上に米ぬかやふすまを入れたカップで放飼すると定着率が高まります。

ククメリスカブリダニ

ククメリスカブリダニはヨーロッパ~地中海沿岸~北アメリカ原産の昆虫です。ククメリスカブダニの成虫の大きさは約0.4mmです。卵~幼虫の期間は20度で約12日、成虫寿命は約20日です。卵は1匹あたり35個産卵します。

参考にしたページ:http://www.idemitsu.co.jp/agri/tenteki_club/sp/product/meri_ecology.html

ククメリスカブリダニがアザミウマを捕食します。

チリトップ

ハダニ類の天敵チリカブリダニをボトルに封入した生物天敵です。500mlのポリエチレンボトルあたり2,000匹のチリカブトダニが入っています。チリトップは使用回数に制限がなく農薬使用にカウントされません。
  • 農薬登録番号:20852号
  • 性状:淡褐色粒状

使い方

ハダニ類の発生初期に放飼します。
チリカブリダニがハダニ類を捕食します。

ヒメトップ

ヒメトップはハモグリバエの捕食寄生天敵であるイサエアヒメコバチをボトルに封入した天敵製剤です。
  • 農薬登録番号:20884号
  • 適用害虫:ハモグリバエ
  • 1ボトルあたり100頭

使い方

ハモグリバエの発生初期に使用します。日中に放つと天井に集まる性質があるので夕方に放飼します。10アールあたり4~8ボトル(200~800頭)使用します。

イサエアヒメコバチ

イサエアヒメコバチはヨーロッパ~北アフリカ原産のハチ目ヒメコバチ科の捕食寄生性昆虫です。成虫の体長は2mmほどです。 卵から幼虫までの日数は気温22度で約12日、成虫の寿命は20度で約30日です。総産卵数は200個~300個です。

参考ページ:http://www.idemitsu.co.jp/agri/tenteki_club/sp/product/hime_ecology.html
イサエアヒメコバチがハモグリバエ類を捕食します。

ツヤトップ

ツヤトップはオンシツコナジラミの捕食寄生性天敵オンシツツヤコバチの寄生蛹を箱に封入した天敵製剤です。1箱あたり45カードが入っています。1カードあたり50頭の羽化雌成虫になります。

使用方法

オンシツコナジラミの発生初期に放飼します。野菜25~30株あたりにつき1カードを使用します。

オンシツツヤコバチ

オンシツツヤコバチはアメリカ南西部原産のハチ目ツヤコバチ科の昆虫です。成虫の体長は約0.6mmです。コナジラミの3齢、4齢幼虫に好んで寄生します。休眠はなく気温23度で卵~黒化(蛹)まで約10日、成虫が羽化するまで約10日かかります。雌成虫は産卵管でコナジラミの体液や分泌物を吸い取ります。気温18度で活発になります。

参考ページ:http://www.idemitsu.co.jp/agri/tenteki_club/sp/product/tsuya_ecology.html
オンシツツヤコバチがオンシツコナジラミを捕食します。

サバクトップ

サバクトップはコナジラミの天敵であるサバクツヤコバチの寄生蛹の天敵製剤です。1箱25カード入りで1カードあたり約60匹の蛹が入っています。
  • 農薬登録番号:21511号
  • 適用害虫:コナジラミ類

使い方

コナジラミの発生初期に10アールあたり50~75カード(3,000匹~4,500匹)を放飼します。

サバクツヤコバチ

サバクツヤコバチはアメリカ合衆国原産のハチ目ツヤコバチ科の昆虫です。成虫の体長は約0.8mmです。 気温25度で卵~蛹までの生育日数は約19日。成虫の寿命は約30日です。産卵数は約150個です。タバココナジラミの2齢幼虫に好んで産卵します。

参考ページ:http://www.idemitsu.co.jp/agri/tenteki_club/sp/product/sabaku_ecology.html
サバクツヤコバチがコナジラミ類に寄生して捕食します。
いずれも大容量サイズもあります。